公開質問状:国税庁宛て

当会議では、国税庁に対し、以下の公開質問状を発送いたしましたのでお知らせ致します。


新型コロナウィルス関連では、様々な施策がなされておりますが、私たち、滞納処分対策全国会議としては、売上や給料の減収があった方については、延滞税を課することなく、当面の間、納税の猶予が行われるべきと考えています。

この点、国税庁は、令和2年3月9日に、納税の猶予(国税通則法46条)に関し、新型コロナウィルスに関連した各種猶予制度の適用取扱についての指針を示し、納税者に寄り添った運用をすることを明らかとしており、また、現在は、新型コロナウィルスの影響により、売上や給料の減少があった場合に、向こう1年間に発生する税金についての猶予制度の創設を検討するなどしており、これらの点については当会議としても迅速な対応を評価しております。

しかし、国税庁の上記解釈指針は、延滞税の負担が免除される国税通則法46条1項や2項1号の「財産」につき、財物損害のみを念頭に置き、売上や給料の減少などといった経済的損害については適用せず、売上の減少に限って、国税通則法46条2条4号の延滞税の負担を伴う納税の猶予の適用対象となるとの解釈指針をとっており、大変疑問があります。

いうまでもなく、新型コロナウィルスに由来する財産上の損害の最たるものは、売上や給料の減少といった経済的損害です。にもかかわらず、このような経済的損失があった場合にでも延滞税を負担させるということは、大半の納税困難事案の救済には資さないことは明らかです。当会議としては、経済社会と言われる現代社会において、「財産」との文言を、財物に限定する解釈は合理性を欠いており、そのように解釈しなければならない法的根拠は存在しないものと考えています(もし、財物に限定するのであれば、法文上は「財物」と記載すべきです)。

上記猶予制度の創設法案についても、結局は、向こう1年間に発生する税金の猶予制度であり、従前の滞納税金については、新型コロナウィルスの影響で納付できなくなっても、延滞税を課すということ自体には変わりがなく、救済措置として十分とは言えません。

そこで、当会議としては、令和2年4月25日付で、国税庁に対し、国税通則法46条1項及び2項1号の「財産」の解釈に、「経済的財産」を含むものとの解釈指針を示すことができないのか、質問をさせていただくことといたしました。

回答は、5月15日までにお願いしておりますので、回答をいただきましたら、本ホームページ上にてご報告させていただきますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

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