Q18. 担当者が代わったら一括納付を求められた

国税庁事務運営指針「納税の猶予等の取扱要領」第1章 基本的な考え方

申告納税制度が適正に機能するためには、納税者が、自発的に正確な申告をするとともに、高い納税意識を持ち、期限内に納付することが必要である。したがって、国税を滞納している納税者に対しては、厳正かつ的確にその処理に当たることが、高い納税意識の確保につながり、また、期限内に納付を行っている納税者との間の公平性の確保の観点からも要請されるところである。

しかしながら、納税者によっては、その財産につき災害を受けたことにより国税を一時に納付することができない場合、又は財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続若しくは生活の維持を困難にするおそれがある場合がある。

そのため、納税の猶予及び換価の猶予の制度は、このような事由がある納税者について、法令等に基づく一定の要件の下、強制的な徴収手続を緩和し、その個々の実情に即した適切な措置を講ずることにより、納税者との信頼関係を醸成し、税務行政の適正かつ円滑な運営を図ることを目的とするものである。

このような趣旨を踏まえ、納税の猶予等の処理に当たっては、次の事項に留意する。

1 納税者の個々の実情に即した処理

滞納整理に当たっては、画一的な取扱いをすることなく、納税者の個別的、具体的な実情に即して適切に対応する必要がある。

そのため、納税者から納税の猶予又は換価の猶予の申請がされた場合は、その申請の内容について、必要な調査を的確に行い、法令等に基づき適切に処理するものとする。

また、納税者から、滞納となっている国税を直ちに納付することが困難である旨の申出があった場合には、納税者の視点に立って、その申出の内容を十分に聴取し、納税についての誠実な意思を有していると認められる場合などについては、換価の猶予等の活用を図るよう配意する。

2 法令等の規定に基づく適正な処理

納税の猶予等の適用に当たっては、事実関係を正確に把握した上で、法令等に基づき適正な処理に努めるものとする。

納税の猶予等は、納税者に期限の利益を与えるものであるから、その適用に当たっては、期限内に納付を行った納税者との間に公平を欠くことがないよう、また、安易に猶予処理することによって、納税意識を希薄にする等の弊害が生じることがないよう、法令等の定める要件を満たしているかどうかを十分に調査する。

3 迅速な処理

納税者から納税の猶予若しくは換価の猶予の申請又は納付困難を理由として分割納付の申出があった場合には、速やかに所要の調査及び確認を行い、早期に処理するよう配意する。

「平成31年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について」第2(15)

悪質な滞納者に対しては厳正に対処する必要がある一方で、地方税法では、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、その執行を停止することができることとされていることを踏まえ、各地方団体においては、滞納者の個別・具体的な実情を十分に把握した上で、適正な執行に努めていただきたいこと。 また、納税相談等の地方税に関する各種相談については、相談機会の充実及び手法の多様化を推進していただきたいこと。

地方税法15条の6

 地方団体の長は、職権による換価の猶予によるほか、滞納者が当該地方団体に係る地方団体の徴収金を一時に納付し、又は納入することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が当該地方団体の徴収金の納付又は納入について誠実な意思を有すると認められるときは、当該地方団体の徴収金の納期限から当該地方団体の条例で定める期間内にされたその者の申請に基づき、一年以内の期間を限り、その納付し、又は納入すべき地方団体の徴収金(徴収の猶予を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。

 前項の規定は、当該申請に係る地方団体の徴収金以外に、当該地方団体に係る地方団体の徴収金(次の各号に掲げるものを除く。)の滞納がある場合(当該地方団体の条例で定める当該地方団体の債権に係る債務の不履行がある場合を含む。)その他申請による換価の猶予をすることが適当でない場合として当該地方団体の条例で定める場合には、適用しないことができる。

一 徴収の猶予又は申請による換価の猶予を申請中の地方団体の徴収金

二 徴収の猶予、職権による換価の猶予又は申請による換価の猶予を受けている地方団体の徴収金(第十五条の三第一項第四号(前条第二項又は第十五条の六の三第二項において準用する場合を含む。)に該当し、徴収の猶予、職権による換価の猶予又は申請による換価の猶予が取り消されることとなる場合の当該地方団体の徴収金を除く。)

 第十五条第三項から第五項までの規定は、申請による換価の猶予について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十五条第三項 金額 金額(その納付又は納入を困難とする金額として政令で定める額を限度とする。)
ことができる ものとする
第十五条第五項 ことができる ものとする

 

地方税法15条の6の2

1 申請による換価の猶予の申請をしようとする者は、当該申請による換価の猶予に係る地方団体の徴収金を一時に納付し、又は納入することによりその事業の継続又はその生活の維持が困難となる事情の詳細、納付又は納入が困難である金額、当該申請による換価の猶予を受けようとする期間その他の当該地方団体の条例で定める事項を記載した申請書に、財産目録、担保の提供に関する書類その他の当該地方団体の条例で定める書類を添付し、これを当該地方団体の長に提出しなければならない。

 前条第三項において準用する第十五条第四項の規定により申請による換価の猶予をした期間の延長を申請しようとする者は、申請による換価の猶予を受けた期間内に当該申請による換価の猶予を受けた金額を納付し、又は納入することができないやむを得ない理由、申請による換価の猶予をした期間の延長を受けようとする期間その他の当該地方団体の条例で定める事項を記載した申請書に、財産目録、担保の提供に関する書類その他の当該地方団体の条例で定める書類を添付し、これを当該地方団体の長に提出しなければならない。

 第十五条の二第五項から第九項まで及び第十五条の二の二の規定は、申請による換価の猶予について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十五条の二第五項及び第六項 第一項から第三項まで 第十五条の六の二第一項又は第二項
第十五条の二第九項 第一項から第三項まで 第十五条の六の二第一項又は第二項
前条第一項、第二項又は第四項 第十五条の六第一項又は同条第三項において準用する前条第四項
第十五条の二第九項第一号 第十五条の三第一項第一号 第十五条の六の三第二項において準用する第十五条の三第一項第一号
第十五条の二第九項第二号 次項の規定による 徴税吏員の
又は同項の規定による 又は
第十五条の二の二第二項 前条第一項から第三項まで 第十五条の六の二第一項又は第二項

地方税法15条の6の3

1 地方団体の長は、申請による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、差押えにより滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産の差押えを猶予し、又は解除することができる。

2 第十五条の二の三第三項及び第四項並びに第十五条の三第一項及び第三項の規定は、申請による換価の猶予について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十五条の二の三第三項 第一項の規定にかかわらず、その その
第十五条の二の三第四項 第一項の規定にかかわらず、当該 当該
第十五条の三第一項第二号 第十五条第三項 第十五条の六第三項において読み替えて準用する第十五条第三項

 

地方税法15条の5

1 地方団体の長は、滞納者が次の各号のいずれかに該当すると認められる場合において、その者が当該地方団体に係る地方団体の徴収金の納付又は納入について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付し、又は納入すべき地方団体の徴収金(徴収の猶予又は第十五条の六第一項の規定による換価の猶予(以下この章において「申請による換価の猶予」という。)を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。ただし、その猶予の期間は、一年を超えることができない。

一 その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき。

二 その財産の換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る地方団体の徴収金及び最近において納付し、又は納入すべきこととなる他の地方団体の徴収金の徴収上有利であるとき。

2 第十五条第三項から第五項までの規定は、前項の規定による換価の猶予(以下この章において「職権による換価の猶予」という。)について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十五条第三項 金額 金額(その納付又は納入を困難とする金額として政令で定める額を限度とする。)
ことができる ものとする
第十五条第四項 当該徴収の猶予を受けた者の申請に基づき、その その
第十五条第五項 ことができる ものとする

 

第15条の5の2 

 地方団体の長は、職権による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、滞納者に対し、財産目録、担保の提供に関する書類その他の当該地方団体の条例で定める書類の提出を求めることができる。

 地方団体の長は、前条第二項において読み替えて準用する第十五条第四項の規定により職権による換価の猶予をした期間を延長する場合において、必要があると認めるときは、当該職権による換価の猶予を受けた者に対し、財産目録、担保の提供に関する書類その他の当該地方団体の条例で定める書類の提出を求めることができる。

 第十五条の二の二第一項の規定は、職権による換価の猶予について準用する。

 

第15条の5の3

 地方団体の長は、職権による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、差押えにより滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産の差押えを猶予し、又は解除することができる。

 第十五条の二の三第三項及び第四項並びに第十五条の三第一項(第五号を除く。)及び第三項の規定は、職権による換価の猶予について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十五条の二の三第三項 第一項の規定にかかわらず、その その
第十五条の二の三第四項 第一項の規定にかかわらず、当該 当該
第十五条の三第一項 次の 第十五条の五第一項の規定に該当しないこととなつた場合又は次の
第十五条の三第一項第二号 第十五条第三項 第十五条の五第二項において読み替えて準用する第十五条第三項

 

国税徴収法基本通達第152条関係7

法第152条第1項の「それぞれの月において合理的かつ妥当なもの」とは、滞納者の財産の状況その他の事情からみて、滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にすることなく猶予期間内の各月において納付することができる金額であって、かつ、その猶予に係る国税を最短の期間で完納することができる金額をいう。